2019 年 2019 巻 70 号 p. 141-146
トマトの茎や果頂部,萼基部に寄生し褐色または黒色に変色させ損傷の原因となる新発生害虫トマトウロコタマバエLasioptera sp.の幼虫に対し,トマトに作物登録のある殺虫剤(散布剤3剤,土壌施用剤1剤)の防除効果および被害抑制効果を調査した.また,寄生部位に共生し幼虫の餌になると推察される糸状菌の感染を殺菌剤(散布剤3剤)によって抑制することで幼虫防除が可能であるか検討した.トマト側枝の切断面に殺虫剤スピネトラム水和剤2,500倍またはフルフェノクスロン乳剤2,000倍を散布した区では,無処理区に比較して幼虫の寄生頭数や被害側枝率,被害程度が抑制された.殺菌剤ペンチオピラド水和剤2,000倍散布区では寄生頭数や被害側枝率などについては顕著な抑制効果が認められなかったが,被害程度指数3以上の重篤な被害を受けた側枝の割合を低下させた.定植時のジノテフラン粒剤植穴土壌混和処理は,残効期間が短く十分な被害抑制効果を示さなかったが,寄生頭数を抑制した.