2020 年 2020 巻 71 号 p. 124-130
ダイズほ場におけるダイズサヤムシガの発生消長と子実被害の関係を明らかにするため,2016~2018年に宮城県古川農業試験場内において,フェロモントラップによる成虫の発生消長,見取り法による幼虫の発生消長を調査し,子実被害との関係を解析した.その結果,ダイズサヤムシガはダイズほ場において年2~3回発生することが明らかとなった.また,有効積算温度によるダイズほ場での発生世代を推定した結果,ダイズサヤムシガは,ダイズほ場侵入前に1世代経過しており,ダイズで発生する幼虫は第2~4世代幼虫であった.子実肥大期以降に発生する第4世代幼虫の発生ピーク時の発生量からの被害予測が可能か検討したところ,幼虫数と子実被害の間に正の相関関係が認められた.一方,フェロモントラップによる誘殺数と第4世代幼虫数との間に有意な関係性は認められなかった.これらの結果から,フェロモントラップ誘殺数から第4世代幼虫数を予測し,子実の被害程度を推定することは難しいと考えられた.