北日本病害虫研究会報
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キャベツ栽培におけるオオムギ混植とネット障壁設置が害虫とそれらの天敵の発生に及ぼす影響
上杉 龍士 田渕 研小西(降幡) 令子吉村 英翔
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2020 年 2020 巻 71 号 p. 131-137

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抄録

キャベツ圃場でのオオムギ混植とネット障壁設置による害虫の発生抑制効果とその要因を検証した.対照区(無処理区),ネット障壁区(物理的障壁区),オオムギ混植区を比較したところ,コナガ,キンウワバ類,モンシロチョウ,およびアブラムシ2種いずれについても,オオムギ混植区で発生量が最も低く抑えられ,特にモンシロチョウとアブラムシ2種に対する効果が顕著であった.ネット障壁でも害虫の発生が抑制されたが,その効果はオオムギ混植に劣った.このことから,オオムギには害虫に対する物理的障壁機能に加えて,害虫の定位行動を視覚的・化学的に攪乱する機能の存在が推察された.また本研究では,オオムギ混植によるゴミムシ類,クモ類,アリ類,コメツキムシ類の発生量の増加はなく,これらの天敵類は害虫の発生抑制の要因ではないと考えられた.一方で,キャベツ葉上のヒラタアブ類幼虫・蛹がオオムギ混植区で速やかに増加したことから,これがアブラムシ類の発生抑制の一要因であると考えられた.

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