北日本病害虫研究会報
Online ISSN : 2185-4114
Print ISSN : 0368-623X
ISSN-L : 0368-623X
報文
転炉スラグ施用による土壌pH調整がホウレンソウの各種土壌病害の発生に及ぼす影響
角野 晶大小野寺 政行日笠 裕治
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 2020 巻 71 号 p. 42-46

詳細
抄録

ホウレンソウ萎凋病被害軽減のためpH 7.5を目標に転炉スラグを施用した場合に,萎凋病以外の土壌病害の発生に及ぼす影響を調査した.まず,根腐病,立枯病および株腐病の各汚染土壌を詰めたミニプランターにホウレンソウを播種し,14日後に発病株率を調査した.その結果,いずれの病害も転炉スラグ施用での発病株率が無施用と同程度であった.次に,2016年に転炉スラグを施用したハウスで2017~19年にホウレンソウを年4作栽培し,萎凋病と立枯病の発病株率を調査した.各栽培前の土壌pHは無施用区で6.2~6.7,施用区で7.1~7.6であった.いずれの栽培時でも,施用区の萎凋病の発病株率が無施用区(発病株率0.8~37.4%)の13~73%に軽減されたのに対し,立枯病では無施用区(発病株率0.7~11.4%)の71~226%の発生であり,被害軽減効果や発病の助長はないものと考えられた.以上から,転炉スラグ施用による萎凋病以外のこれら土壌病害の発生への影響は認められなかった.

著者関連情報
© 2020 北日本病害虫研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top