2020 年 2020 巻 71 号 p. 62-68
東北地域の春まきタマネギ栽培では鱗茎にBurkholderia cepaciaによるタマネギ腐敗病が発生して問題となっているが,防除体系は明確になっていない.東北地域の複数の圃場において,慣行防除体系とアザミウマ類および細菌病に対する効果が高いと想定した防除モデル体系を比較したところ,防除モデルの方がタマネギ腐敗病の発生が少なくなった.
そこで,この要因について検討するため,防除モデルのうち細菌病防除剤あるいは殺虫剤を無散布とした区,およびその両方を無散布とした区を設定した.その結果,タマネギ腐敗病の発生は,細菌病防除剤を無散布とした区が防除モデル区と同等であったが,殺虫剤を無散布とした区では,両方を無散布とした区と同様に多くなった.さらに,ネギアザミウマ寄生虫数と発病率に有意な正の相関が認められた.したがって,タマネギ腐敗病の効果的な防除にはネギアザミウマの防除が寄与するものと考えられた.