2023 年 2023 巻 74 号 p. 112-117
山形県では近年,畜産経営の安定化のため飼料用トウモロコシの作付面積が増加傾向にある.トウモロコシは斑点米カメムシ類として問題となっているアカスジカスミカメの寄主植物の一つであることから,飼料用トウモロコシにおける本種の発生推移について調査した.飼料用トウモロコシの雄穂について払い落とし調査を行ったところ,アカスジカスミカメの主に雌成虫と幼虫が確認された.また,払い落とし後の雄穂を25°C,16L : 8Dで6日以上管理したところ,アカスジカスミカメの幼虫が確認されたことから,雄穂に産卵していると考えられた.
雄穂に産卵されたアカスジカスミカメが飼料用トウモロコシのみをエサとして発育可能か調査したところ,その子実が露出している場合は多くの個体が羽化したものの,そうでない場合の1株当たりの羽化率は低かった.