2024 年 2024 巻 75 号 p. 63-66
圃場植栽の成木の果実への黒星病の感染時期及び貯蔵果での発病率を調査するため,19~20年生「ふじ」の無袋果と有袋果を供試し,分生子懸濁液による接種試験を行った.その結果,貯蔵果での発病率は10月5日接種で無袋果52.1%,有袋果65.6%,10月14日接種で無袋果19.4%,有袋果9.5%となり,成木でも既報のポット植栽樹を用いた試験とほぼ同じ時期に果実へ感染し,貯蔵中に発病することが明らかとなった.また,この時期の防除対策を検討するため,フルオルイミド水和剤1,500倍の散布を接種7日前の9月28日及び接種3日前の10月11日に行った.その結果,無袋果と有袋果ともに発病は全く認められなかった.このことから,貯蔵果の黒星病発生抑制技術として,本剤の秋季散布は有効な手段と考えられた.