1995 年 1995 巻 46 号 p. 78-80
タマネギ乾腐病に対する品種抵抗性の検定を圃場で安定的に行うために接種方法の検討を行った。エンバクおよびバーミキュライトで乾腐病菌を培養した接種源を用いて圃場に接種すると, 虫害が増加し抵抗性の判別が困難となった。一方, 移植直前のタマネギ苗の根部および茎盤を乾腐病菌の小型分生胞子懸濁液 (1×106個/ml) に2時間浸漬処理して移植すると, 品種問の抵抗性の差が明瞭であった。また, この浸漬接種法を行ったタマネギの圃場における発生消長は, 自然発病畑におけるそれと同様の傾向を示した。本法は接種源の調整および接種方法が簡便なため一度に大量の処理が可能であり, 材料を多く扱う品種の圃場検定に有効であると考えられる。しかし, 発病の増加時期のうち6月中旬~7月上旬は虫害の発生しやすい時期と重複し, 調査が遅れると虫害との区別が困難となるため, 調査間隔を数日間に短縮する必要がある。