抄録
リンゴ枝幹の粗皮形成は6月中・下旬に始まり, 7月中・下旬には最盛期となって, 8月上・中旬に終息した.このような粗皮の形成消長には明らかな品種間差が認められなかった.粗皮形成に伴ってその境界部に生じる樹皮亀裂にリンゴ腐らん病菌の柄胞子を接種したところ, 接種当年の10~12月に高い割合で発病した.しかし, 粗皮形成1~5カ月後の接種では, 全く発病しなかった.以上の結果から, 粗皮を起点に発病する病斑は, 粗皮境界部の樹皮亀裂に感染した病原菌に起因し, その主要な感染時期は粗皮形成が最盛期となる7月中・下旬頃であろうと考えられた.