北日本病害虫研究会報
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リンゴ樹から分離された糸状菌による腐らん病菌の生育抑制
中沢 憲夫原田 幸雄
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2002 年 2002 巻 53 号 p. 109-111

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抄録
リンゴ樹から分離した糸状菌22菌株をPDA平板培地で腐らん病菌と対峙培養iした結果, 8菌株が腐らん病菌の生育を抑え, 同菌の菌そうを覆うように生育を続けた.これらの菌株によって覆われた腐らん病菌の菌そうからは腐らん病菌が分離されなかった.8菌株のうち, 2000年に分離した2菌株 (スエヒロタケHU-1および未同定担子菌NTて7) を供試し, 苗木の腐らん病斑に培養菌そうを貼付接種したところ, 3ヵ月後の腐らん病菌検出率が著しく低下し, 逆に接種菌が高率に分離された.これらの菌株をリンゴの苗木や新梢に有傷接種すると, 3ヵ月後においても接種菌が分離されたが, 外観上明らかな病原性は認められなかった.以上の結果は, 両菌が病斑中の腐らん病菌の生育を阻害すること, また自らは少なくとも約3ヵ月間病斑および有傷接種部で生存できることを示唆している.
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