抄録
秋に野外で羽化しない蜻化個体群を室内 (25℃, 14L: 10D) に置いたところ, 6~39日後までに約60%の個体が羽化した.また同様の個体群を15, 30, 60日間低温処理したところ, 各条件とも処理後羽化までの所要日数は延びたものの, 処理期間が長いほど羽化のばらつきが少ない傾向がみられた.また, 蜻の発育試験で15℃ (14L: 10Dおよび10L: 14D) において羽化しない蝋化個体を25℃ の条件に移動したところ, 両条件とも約20日を経過して羽化がみられた.蠕の発育零点は!5℃ より低いという知見もあり, 加えて15℃での羽化の有無を確認するために最長で140日間観察した.この条件においては有効積算温量も十分満たしており, 低温が蠕の発育特に休眠に関して何らかの影響を及ぼしているものと考えられた.