2016 年 64 巻 11 号 p. 322-326
展開膜構造を用いた宇宙機システムが検討されている.衛星のデオービット用展開膜やソーラーセイル,あるいは太陽光発電衛星など,軽量で大面積の膜構造物を宇宙空間で構築することで,これまでにない宇宙ミッションを可能にすることが考えられるためである.これらの構造物は地上で小さく収納し,宇宙空間で大きく展開することで宇宙空間に構造物を構築することに特徴があり,このような超軽量な宇宙展開構造物を展開する方法として,伸展ブームを用いた展開方法は超小型衛星から比較的大型の衛星まで適用可能である.また,大面積の膜を展開するためには,その折畳み方法も収納・展開特性を決める重要な要因となっており,伸展ブームとの組み合わせ方で様々な新たな宇宙ミッションへの利用が可能となってくる.本稿では,著者らが現在開発中のブームと膜が一体となった展開膜構造について紹介する.