2017 年 65 巻 2 号 p. 44-50
将来の火星着陸探査ミッションに必要となる超音速パラシュートを開発するために我々はキー技術として空力性能,構造性能,放出機構に大別し検証を行ってきた.まず遷音速風洞,超音速風洞試験を実施しマッハ2程度まで損傷なく安定に開傘できることを確認した.またより大きな模型を用いて大型低速風洞試験を実施し,火星等価動圧環境で損傷なく開傘できることを確認した.一方で抵抗係数に関して動圧が増加するにつれて減少することが確認されており,今後,流体構造連成解析を用いて検証を行っていく計画である.放出機構に関しては自動車用インフレータを用いる放出機構を提案し,能代ロケット試験場での大気圧環境下鉛直放出試験を実施しその妥当性を検証した.2016年10月には総合試験として大樹航空宇宙実験場にてヘリコプターからの投下試験を実施し自由飛行環境下における空力性能データを取得することができた.