日本航空宇宙学会誌
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特集 小型推進系が切り拓く超小型衛星の未来 第4回
小型水レジストジェットスラスタAQUARIUSの開発
浅川 純小泉 宏之西井 啓太服部 旭大
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2018 年 66 巻 10 号 p. 296-301

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抄録

超小型深宇宙探査機EQUULEUSは,2020年にNASAのSLSによって,メインペイロードである無人宇宙船Orionの副ペイロードとして打ち上げ予定のキューブサットである.EQUULEUSのミッションの一つが太陽-地球-月系における軌道操作技術の実証である.その核となる技術が小型水レジストジェットスラスタAQUARIUSである.AQUARIUSには,軌道遷移と姿勢制御の2種類の推進性能が要求される.水を推進剤として共有利用することで,2種類の推進性能を確保しつつ,高圧ガスシステムから脱却した小型推進系が実現される.また,安全無毒で取扱い性が良い水は,相乗り打ち上げされることが多い小型宇宙機との親和性が高い.AQUARIUSのエンジニアリングモデルを開発し,探査機構体に組み込んだ状態で性能評価試験及び環境試験を実施した.小型宇宙機という特徴を生かし,探査機を丸ごと用いて推進系の作動試験を実施することで,電源系や熱系等も考慮しつつ,推進性能を統合的に評価した.本稿では,AQUARIUSエンジニアリングモデルの開発状況について概観する.

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© 2018 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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