2019 年 67 巻 1 号 p. 12-18
本稿では交通運輸技術開発推進制度「航空機の到着管理システムの研究」における気象データの利用方法に関する研究成果として,先行機のダウンリンクデータの活用による航空路の風予測精度の向上について説明する.ダウンリンクデータによる実運航の対気速度に対し気象庁MSM数値予報モデルの風向・風速を加えて対地速度を算出し比較したところ,対地速度の比は風の予測精度の影響により1σ~1%程度で分布する.この予測精度の向上策として,同一の航空路を飛行する先行機のダウンリンクデータを活用し,後続機の風の予測値とすることで,先行機との時間間隔が30分程度以内であれば,予測精度が向上することを説明する.更に,上昇・降下率や飛行経路の違いにより緯度・経度・高度の異なるルートを飛行したデータとも比較・考察する手段として2次元のカラーマップを用いた作図法を考案し,水平面位置の違いによる差異を可視化した考察について説明する.