2019 年 67 巻 2 号 p. 42-46
ロータ・ブレードにおいては,基本的に翼根から翼端に向けてRe数とMach数が共に線形的に増加していく.現在運用中のヘリコプタの翼端マッハ数はほとんどが0.6前後で模型試験もマッハ・スケールと言って,翼端マッハ数を合わせた実験が多い.模型のサイズは実大の数分の1となるので,Re数も数倍の範囲内に収まる.一方,水平軸風車は大型化に伴い,半径100m程度のものも開発されており,模型の試験では1/100程度で,Re数が2桁異なるため,実Re数の試験や数値シミュレーションが重要である.さらに,近年急速に普及しているドローンのプロペラの翼端速度は実機ヘリコプタの約半分で,サイズも小さいことから,Re数的には低Re数領域にあり,空力性能的にはまだ改善の余地が大きいと考えられている.本解説記事は上記3種類の回転翼におけるRe数の影響について考察してみた.