日本航空宇宙学会誌
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特集 実フライトレイノルズ数への空気力学の挑戦 第8回
低レイノルズ数流れに対するCFD研究の現状と将来
藤井 孝藏浅田 健吾
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2019 年 67 巻 5 号 p. 174-180

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抄録

筆者らのグループの最近の研究結果をベースに低レイノルズ数流れに対する数値シミュレーション(CFD)研究の現状を議論する.「実フライトレイノルズ数への空気力学の挑戦」という企画の趣旨を考え,翼型周りの流れを中心に現在のCFDができること,できないこと,わかってきたこと,まだわからないことを総括する.103~105程度のレイノルズ数領域において,2次元翼型を過ぎる流れは強い非線形性によって層流剝離泡に代表される複雑な様相を示す.コンピュータの高速化の助けもあって,Large Eddy Simulation(LES)に代表される最近の数値計算手法は,このような流れ場を十分に記述できるようになってきた.これら高信頼性の数値計算法を注意深く利用することで,CFDはこのレイノルズ数領域における流れ解析,翼設計の優れた道具となりつつある.今後は産業界も含めてより実用的な形状にその利用が進むと考えられる.

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© 2019 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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