2020 年 68 巻 4 号 p. 94-100
将来,増加が予想される航空交通量に対応するため“将来の航空交通システムに関する長期ビジョン”が策定された.その実現に向けて研究開発を促進するため,実運航データを基にした航空交通データ(CARATS Open Data)の提供が2015年2月に開始された.提供開始からまもなく5年が経過する現在までの間に,データ内容は段階的に拡充され,多くの研究開発が行われるようになった.また,行政にもその成果が寄与するようになってきた.本稿では,このCARATS Open Dataの仕様や特徴について説明し,データの元となる航空管制情報処理システムとそのデータの変換方法について述べる.また,提供開始から今日までのデータ内容の拡充および研究開発でのデータの活用状況と,施策への貢献などの実例,活用促進の取り組みについて説明する.最後に,今後予定されている航空交通システムや運用方法の改善について紹介する.