日本航空宇宙学会誌
Online ISSN : 2424-1369
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68 巻, 4 号
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解説
特集 超小型衛星打上げ機:SS-520 5号機の開発 第3回
  • 山本 高行, 伊藤 琢博, 伊藤 隆, 中村 隆宏, 羽生 宏人, 稲谷 芳文, 大塚 浩仁
    2020 年 68 巻 4 号 p. 101-106
    発行日: 2020/04/05
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,観測ロケットベースの超小型衛星打上げ機による地球周回楕円軌道への軌道投入について,その飛行計画について概説する.本打上げ機による目標軌道は,遠地点高度約1,800 km,近地点高度約180 kmであり,近地点高度が低いために期待される軌道寿命は短い.飛行計画に対するミッション要求の一つとして,軌道寿命30日以上の軌道に衛星を投入することが挙げられる.機体誤差源や飛行環境の誤差が達成される軌道に対して大きく影響するため,これらの誤差が十分に小さくなるように管理しなければならない.ここでは観測ロケットをベースにして,どのように超小型衛星打上げ機としての要求を満足する軌道計画を立案したか,およびノミナル軌道に対する飛行分散や飛行安全に対する解析結果を示す.また飛行結果およびポストフライト解析を示し,将来的な能力向上の一案を紹介する.

特集 SIP革新的構造材料 第4回
  • 水口 周, 武田 展雄
    2020 年 68 巻 4 号 p. 107-113
    発行日: 2020/04/05
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル 認証あり

    新規複合材構造の開発においては,成形後に発生する部材形状のゆがみや残留応力等に起因する亀裂の発生が問題となる.従来は試作により成形型形状や温度プロファイルの変更を繰り返す試行錯誤を経て,所望の部材形状や特性を実現可能な製造プロセスを設定しており,開発の高コスト化を招く要因となっていた.そうしたなか試作を繰り返す従来手法に代わり,成形シミュレーションによって複合材内部の応力ひずみ状態を推定し,最適な成形プロセスを決定する手法が注目を集めている.新規複合材およびその成形プロセスの開発を,ひずみ発生メカニズムの観点から支援可能な光ファイバその場計測および高精度モデリングの技術基盤を構築したので,その取り組みについて概説する.

特集 機体騒音研究とFQUROHプロジェクト 第4回
  • 熊田 俊行, 島田 彰久
    2020 年 68 巻 4 号 p. 114-119
    発行日: 2020/04/05
    公開日: 2020/04/05
    ジャーナル 認証あり

    旅客機の騒音の国際基準は徐々に厳しくなってきており,近年,機体メーカーから脚単体に騒音要求が課せられることも珍しくは無くなってきている.航空機の脚メーカーである住友精密工業はFQUROHプロジェクトへ参画し,JAXA実験用航空機「飛翔」主脚騒音低減デバイスの設計・製作を担当した.デバイスの設計においてはCFD解析と風洞試験等の結果から騒音低減性能,運用に対する強度を有することを確認するとともに,熱流体解析によってブレーキ性能への影響が無いことを確認し,機体の整備性,安全性にも配慮した.2017年にこのデバイスを搭載し行った飛行試験では,タイヤホイール穴塞ぎ等の他の騒音対策も含め,主脚単体の評価で4.0~4.8 EPNdB(Effective Perceived Noise in decibels:実効感覚騒音)の低騒音化を実現することができた.

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