日本航空宇宙学会誌
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特集 機体騒音研究とFQUROHプロジェクト 第5回
飛翔の大型低騒音風洞試験
横川 譲
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ジャーナル 認証あり

2020 年 68 巻 5 号 p. 154-160

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抄録

JAXA FQUROHプロジェクトでは,JAXAの実験用航空機「飛翔」による機体騒音低減技術の飛行実証に向けたフラップならびに主脚の低騒音化設計において,3種類の風洞試験を実施した.このうち,フラップの低騒音化設計に供する音響ならびに空力データは,主に実機18%スケール(スパン長1.7 m)の半裁模型を用い鉄道総研米原大型低騒音風洞試験において取得した.風洞試験では,始めにCFDにより設計された複数のフラップデバイス候補形状から騒音低減効果が大きく,かつ空力的デメリットが少ないものを比較評価により選定した.次に,飛行実証に供する低騒音化デバイスを設置した模型形態に対し,騒音絶対値ならびに空力特性の予測データを取得した.飛行実証後に風洞試験と飛行試験の結果とを比較したところ,実機を精巧に模擬した模型を使用し,得られたデータに対し実機スケールへの換算や風洞試験による影響の補正を適切に行うことで,風洞試験が実機の騒音特性を定量的に良好に予測できることを確認できた.

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© 2020 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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