日本航空宇宙学会誌
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特集 はやぶさ2の10年の軌跡-開発から拡張ミッションまで 第3回
はやぶさ2の小惑星近傍フェーズ運用
武井 悠人佐伯 孝尚
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2021 年 69 巻 11 号 p. 316-322

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抄録

小惑星探査機はやぶさ2は,2018年6月27日にリュウグウへ到着し,小惑星近傍フェーズへと入った.リュウグウの特性を調べるため,約1年半に渡り多様な科学観測が遂行された.また,ローバー/ランダーの展開,二度のタッチダウンによる表面/地下サンプル採取,人工クレーター生成実験など,多くの降下運用に成功した.本稿では,はやぶさ2ミッションにおける小惑星近傍フェーズの概要を,事前準備と実績に分けて紹介する.はやぶさ2の多様で複雑な小惑星近傍運用を成功させるため,往路巡航フェーズ期間を活用して事前に詳細な運用計画を検討し,多くの訓練を実施した.到着後は,明らかになるリュウグウの素性や運用の成否,探査機特性の変化へと柔軟に対応しつつ成果の最大化を図った.本稿では,小惑星近傍フェーズにおける降下運用の全体像に加え,各期間のハイライトや重要な判断の流れを報告する.

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© 2021 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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