2021 年 69 巻 5 号 p. 167-172
超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)搭載のマルチビームアンテナの概要と成果を概説する.WINDSは,e-Japan計画にて「無線による広範囲の超高速アクセスを可能とする技術」を実証する衛星として位置付けられた.このため,JAXAは超高速アクセスを可能とするマルチビームアンテナを開発した.マルチビームアンテナは,同様にWINDS搭載のマルチポートアンプと合わせ,超高速アクセスを実現する.マルチビームアンテナは,2.4mΦのソリッド反射鏡を2枚持ち,国内及び近隣国12カ所,アジア太平洋地域7カ所に対して,サービスビームを提供する.このマルチビームアンテナとマルチポートアンプを合わせ,68dBW以上のEIRPを実現した.これにより,1.2Gbps(当時世界初),その後3.2Gbps(当時世界初)の超高速通信を実証した.WINDSが実現した超高速通信は,東日本大震災等の災害の際に,被災地にて活用された.本稿では,どのように高い性能を実現したのかと,被災地での活躍を概説する.