日本航空宇宙学会誌
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特集 超高速インターネット衛星(WINDS)の実験成果 第3回
WINDSを使用した信号歪補償実験成果報告
谷島 正信中台 光洋
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2021 年 69 巻 6 号 p. 199-204

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抄録

地球周回衛星-地上局間データ伝送速度の高速化のためにKa帯データ伝送システムの研究開発が行われている.Ka帯周波数では雲,降雨による電波の減衰が大きく衛星の送信性能の向上,特に増幅器の高出力化が必要であるが,衛星搭載の制約から増幅器は電力効率の高い非線形領域での動作が求められる.そこで伝送特性の劣化要因である増幅器の非線形性を衛星側で事前に線形化する信号歪補償(デジタルプリディストーション)技術の適用を検討している.本稿では,WINDSを使用した実験によりデジタルプリディストーション技術によってデータ伝送路に存在する非線形性を抑圧し,データ伝送特性が改善できることを示す.また,地上局内折返し伝送路と28 GHz帯のWINDS折返し伝送路における信号品質の差が縮まること,復調後の信号コンスタレーションから伝送路上の信号歪特性を推定し,信号歪補償のパラメータを最適化することによって信号品質を向上させることができることも示す.

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© 2021 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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