日本航空宇宙学会誌
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特集 はやぶさ2の10年の軌跡―開発から拡張ミッションまで 第1回
はやぶさ2の計画と成果
津田 雄一
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2021 年 69 巻 8 号 p. 245-251

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抄録

小惑星探査機はやぶさ2は,2014年に打ち上げられ,2018~2019年にかけて小惑星リュウグウを探査し,2020年に地球帰還を成功させた.リュウグウとの往復航行にはイオンエンジンによる連続推力軌道制御,地球スイングバイ,光学電波複合航法などの技術が用いられた.到着により明らかになったリュウグウは地形が想定外に険しかったため,探査機の当初性能や計画を超える挑戦を迫られたが,事前の周到な準備と適応力の高いチームビルディングにより,計画されていたすべてのミッションを遂行することができた.主要な成果としては,複数の探査ロボットによる地表探査,2度にわたる精度1 mレベルでの着陸,直径18 mの人工クレーター生成等である.はやぶさ2の地球帰還カプセルは,2020年12月6日に豪州ウーメラ砂漠に帰還した.その後探査機本体は,拡張ミッションに移行し,新たな2つの小惑星にむけて飛行を続けている.本稿は,はやぶさ2の計画,経緯,成果を概説するものである.

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© 2021 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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