2023 年 71 巻 10 号 p. 268-273
航空管制における安全確保とリスク管理のために,管制負荷を推定することは重要であるが,航空交通量の増大と複雑化に伴い,管制業務もより複雑・高度化している.日本では,管制官の業務量を推定する方法として,航空管制業務に基づくMMBB(Modified-Messerschmidt, Bölkow und Blohm)法が用いられている.しかし,この方法はセクタ構造が変化した場合や,セクタがいくつかに分割された場合に負荷量の推定が困難となる.これはセクタ構造が変化した時にMMBB法で用いるパラメータに変化が生じ,このパラメータ設定に過去の交通流の統計量を用いるためである.この問題を解決するため,本論文では機械学習を用いたアプローチに着目し,これによる負荷量推定により解決を目指す.具体的に,Long-Short Term Memory(LSTM)を用いた時系列性を考慮した推定法を提案する.提案手法を過去の負荷量の高い1カ月間において分類精度の比較実験を行ったところ,機械学習における従来手法で適用された順伝播型ニューラルネットワーク法に比べて,分類精度が向上することが明らかになった.