2025 年 73 巻 10 号 p. 326-328
数値風洞(Numerical Wind Tunnel, NWT)は宇宙航空研究開発機構(JAXA,当時は航空宇宙技術研究所(航技研)と富士通株式会社が共同開発した世界初の分散主記憶型並列ベクトル計算機である.1993年11月から1995年11月の2年間,スーパーコンピュータTOP500において世界最高速を記録し,1994, 1995, 1996年にはGordon Bell賞を受賞している.数値風洞の導入により,航技研では本格的な並列シミュレーションを行うことが可能になり,乱流シミュレーションなどの基礎研究から小型超音速実験機NEXSTや極超音速飛行実験機HYFLEX,国産宇宙往還実験機HOPE-Xなど航空機・宇宙機の開発に幅広い分野で用いられ,航空宇宙分野への数値シミュレーション技術の適用を実用化するとともに,その後の航空宇宙工学の発展に大きく貢献した.以上の理由により,数値風洞が航空宇宙技術遺産第二号として認定された.