2025 年 73 巻 10 号 p. 343-348
衛星光通信は高速大容量化や小型化,軽量化,低消費電力化等の様々な利点を併せ持つ点で,電波に代わる技術として注目されている.情報通信研究機構(NICT)は,衛星光通信の実用化を見据えて,地上─衛星間光通信の実証を中心に様々な衛星光通信ミッションの研究開発を進めてきた.現在,NICTは,次世代衛星光通信ミッションとして超高速先進光通信機器(HICALI)の研究開発を推進し,地上─静止衛星間光通信では世界最高レベルの通信速度となる10 Gbit/sの実証を目指している.このHICALIは技術試験衛星9号機(ETS-9)に搭載され,2025年度に打ち上がる予定である.ETS-9の打上げ後は,HICALIとNICT光地上局との間の10 Gbit/s光フィーダリンクの実証実験を予定している.本論では,NICTが推進中のETS-9搭載光フィーダリンクサブシステムであるHICALIの概要や開発状況,システム試験結果を報告する.