2025 年 73 巻 5 号 p. 153-158
我々の太陽系では,46億年前に原始太陽系円盤内で塵が集積して多数の微惑星(小天体)が形成され,衝突・合体を繰り返して地球を含む惑星系が形成されてきたが,太陽系内には多数の小天体が残存しており,天体どうしの衝突が現在も続いている.直径数10 mの天体が地球に衝突すれば,1908年のツングースカ大爆発のように,巨大都市全域が被災する広範囲かつ大規模な災害をもたらし得る.地上観測に基づく軌道予測から,今後100年程度で地球に衝突する可能性があるのは直径数10 mの小惑星である.それらの衝突を回避する手段の構築や,地球衝突した場合の災害規模の推定には,探査機を送って小型の小惑星の表層状態や物性の直接調査,さらに衝突回避に必要となる探査技術の習得が喫緊の課題である.本稿では,JAXAが太陽系天体の探査計画において進めている惑星科学的・探査工学的なプラネタリーディフェンスへの貢献内容について概説する.