北関東医学
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症例報告
ドリル用ポンチ釘による穿通性心外傷の一治験例
宮前 洋平高橋 徹長谷川 豊行木 太郎浜田 邦弘大嶋 清宏飯野 佑一森下 靖雄
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2005 年 55 巻 2 号 p. 151-154

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抄録
症例は55歳, 男性で, 作業場で転倒し左前胸部に業務用ドリル用ポンチ釘が刺入し, 当院救急外来へ搬送された. 心エコー, 胸部CTを施行したところポンチ釘が右心室壁を貫いており, 心タンポナーデを認めた. ICU入室後に血圧が低下したため, 心嚢ドレナージを行い緊急手術を施行した. 胸骨正中切開後, 心嚢切開を行い, ポンチ釘を抜去したところ右室流出路に穿孔部を認め, 同部を縫合閉鎖した. 僧帽弁閉鎖不全や心室中隔レベルのシャントなど他部位の損傷は認めず, 体外循環を必要としなかった. 術後経過は良好で, 術後第11病日に軽快退院した. 穿通性心臓外傷では小さな刺入創であっても心タンポナーデを発症し, 急速な血圧低下などの重篤な状態に至ることがあるので, 迅速な診断と手術が必要である.
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© 2005 北関東医学会
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