2005 年 55 巻 3 号 p. 251-255
【背景・目的】 群馬大学で現在計画中の重粒子線治療施設には巨額の費用がかかるので, その妥当性を評価するために, 見込まれる利用者数の信頼できる推計値が必要である. 【対象・方法】 本研究では, 群馬県地域がん登録データを用いて群馬県内のがん罹患数を部位別に推計し, その値に第1報で算出した部位別重粒子線治療適応率を掛け, 合計して重粒子線治療の適応となる患者数を求めた. 【結果】 県内だけでも年間655人のがん患者が重粒子線治療の適応となるという推計値を得た. 【結語】 これまでの重粒子線治療例数が少なく, 地域がん登録率が低いために, この推計値の信頼性は十分ではないが, 計画中の小型重粒子線治療施設に見合った需要があることを支持する結果であった.