抄録
【目 的】 乳がん患者と非乳がん患者の倦怠感を比較し, 各々の倦怠感の特徴を明らかにすることである. 【対象と方法】 A病院の外来に通院する乳がん患者128名と非乳がん患者76名に質問紙調査を施行した. 調査内容は, 倦怠感, 化学療法の有無, 放射線療法の有無, 運動療法の有無, Performans Status等であった. 倦怠感は, Cancer Fatigue Scaleを使用し調査した. 【結 果】 乳がん患者は, PS≧ 1群 (p< 0.005), 痛みあり群 (p< 0.05), 不眠あり群 (p< 0.001), 孤独感あり群 (p< 0.05), 呼吸困難あり群 (p< 0.05), 不穏あり群 (p< 0.05) のCFS得点が高く有意差がみられ, 非乳がん患者では, PS≧ 1群 (p< 0.001), 痛みあり群 (p< 0.005), 下痢あり群 (p< 0.05) のCFS得点が高く有意差がみられた. 疾患間では不眠に有意差がみられた. 【結 語】 乳がん患者は, 身体症状のみでなく, 孤独感等精神的な症状においても倦怠感が強くなることが明らかになった. 特に不眠に対するケアを充実する必要性が示唆された.