抄録
【目 的】 本研究の目的は, 化学療法患者が体験する味覚変化の症状と生活への影響, 生活上の工夫の分類である. 【対象と方法】 味覚変化のある化学療法患者8名に, 症状の特徴や生活上の不利益, 生活上の工夫に関する半構成的面接を行い, 内容の類似性に従って分類した. 【結 果】 症状の特徴として, 〈味覚減退〉, 口腔内に苦味等を感じる〈自発性異常味覚〉, 食べもの本来の味がしない〈異味症〉などの【味覚変化】, 匂いへの嫌悪や悪心など【不快症状】, 口腔乾燥などの【口腔機能変化】が明らかとなった. 症状に伴う不利益は, 食べてもおいしくないなど【心理的困り事】, 料理の味付けや会食が困難になる【社会的困り事】, 食品の工夫や気晴らしなどの【対処】, 家族らによる【サポート】が明らかとなった. 食事の工夫は〈酸味の利用〉〈甘い食品の摂取〉〈イモ類の摂取〉〈匂いの回避〉〈苦味の回避〉〈食品とタイミングの重視〉が明らかとなった.
【結 語】 味覚変化は身体・心理・社会的な不利益をもたらし, 対処能力やサポートが要求されるため, がん化学療法看護の必須項目として捉える必要がある.