北関東医学
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症例報告
幽門狭窄を呈した胃癌に対しノンカバード,カバードステントの併用が緩和的治療に有用であった1例
倉林 誠棚橋 美文岡野 孝雄大木 茂横江 隆夫須納瀬 豊竹吉 泉
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2012 年 62 巻 1 号 p. 53-57

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抄録
症例は62歳の男性で, 食欲不振・腹部膨満感・黒色便・めまいを主訴に来院した. 上部消化管内視鏡検査で胃幽門前庭部に全周性狭窄を呈した3型腫瘍を認め, CTで傍大動脈リンパ節転移があり, 胃癌Stage IVと診断した. 通過障害による摂食不良のため, 入院してパクリタキセルによる化学療法を開始したが, 効果はなかった. 通過障害による嘔吐が続き, 外科的バイパス術を希望しないため, ステント治療を行った. WallFlex™ ノンカバードステント留置を施行したが改善せず, ステント内にUltraFlex™ カバードステントを再留置することにより摂食可能となった. その後化学療法を施行したが, 初回ステント留置後11ヶ月に癌死した.
幽門狭窄を呈した切除不能胃癌の癌緩和的治療の選択肢として, ステント治療を検討すべきであると考える.
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© 2012 北関東医学会
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