北関東医学
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原著
アルキルベンゼンスルホン酸によるラット脳カルシニューリン活性への阻害作用の研究
伊藤 昇時田 佳治保坂 公平嶋田―中島 淳子高橋 千由紀田中 進
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2014 年 64 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

【背景・目的】 我々は, 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸 (LAS) がウシ脳カルシニューリン (CN) 活性の強力な阻害剤であることを報告したが, その阻害様式の解明には至らなかった. 本研究ではLASのラット脳CN活性に対する阻害効果を確認し, その阻害様式を明らかとした. 【材料と方法】 精製したラット脳CNを用い, LASの阻害効果とキネティクス解析により阻害様式を決定した. 【結 果】 C12-LAS, C13-LAS及びC14-LASに強い阻害効果を認め, 50%阻害濃度 (IC50) はそれぞれ13.5μM, 5.7μM, 2.9μMであった. またC12-LASは非競合阻害によりCN活性を阻害することが明らかとなり, 阻害定数 (KI ) は 13.8μMと算出された. 【結 語】 アルキル側鎖の炭素数12から14のLASはラット脳CNに対して強い阻害作用を示し, C12-LASの阻害様式は非競合阻害であった. CNは免疫抑制剤の標的酵素として知られているので, 本研究で得られた知見は, 新規の構造を有する免疫抑制剤のシード化合物の探索研究に応用されることが期待される.

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© 2014 北関東医学会
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