2017 年 67 巻 1 号 p. 55-62
目 的:NPPV管理下でTPPVを希望しないALS療養者の終末期の緩和処置方法やケアの動向や現状を明らかにすること.
方 法:国内外の文献検討を行った. 医学中央雑誌とPubMedをデータベースとして, 2001~2015年までの原著論文を検索した. 検索語は, ALS and/or NPPVとした. 次に, Yahoo!JAPANとグーグルスカラーの検索エンジンを用いて, ALSのNPPV管理下の終末期の事例が掲載されている論文, ガイドライン, 一般書籍, 関連記事をさまざまな関連用語を使って可能な限りの検索を行った. 検索語は, ALS, NPPV, withdrawing NPPV to death, terminal care, end-of-life care などの用語とし, 単独, あるいはいくつかの用語を組み合わせて, 2016年1月~2016年10月までの間の2週間に1 ~ 2回の検索を試みた.
結 果:分析対象とした文献34編のうち, 終末期の緩和ケアに関するものは2編であった. 一方, 収集できた事例は20件で, そのうち緩和ケアに触れたものは7件であった. ガイドラインやそれに類する書物においてはNPPV管理下の終末期の緩和ケアの記載があるものは8件であり, うちALSについては2件のみであった.
結 論:NPPV管理下のALS療養者の終末期ケアについては, ほとんど注目がされていない状況であった. NPPV利用は増加している. そのため, NPPVの導入の際に, 終末期の緩和ケアを含めて説明を行う必要があることと, 維持困難期の緩和ケアの開発が必要である.