北関東医学
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症例報告
Miles手術後の大腿ヘルニア嵌頓に対して,腸管切除を伴う腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した一例
加藤 隆二片山 千佳小澤 直也須賀 邦彦大曽根 勝也高橋 遼高田 考大茂木 陽子小川 博臣調 憲
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2019 年 69 巻 2 号 p. 149-152

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抄録

今回,我々はMiles手術の既往がある高齢女性の大腿ヘルニア嵌頓に対し,徒手整復を行った後に準緊急で腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP 法)と小腸部分切除を施行し,良好な経過が得られた一例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.【症 例】81歳女性.X月Y日14時頃からの嘔気・嘔吐あり,症状の改善がないためY+1日未明に当院へ救急搬送された.既往歴は4年前に直腸癌に対してMiles手術後であった.来院時,右鼠径部,鼠径靱帯尾側に鶏卵大の膨隆を認めた.CTでは右大腿輪から小腸の脱出を認めた.右大腿ヘルニア嵌頓の診断で,徒手整復を施行した.来院翌日に準緊急で腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した.術中所見では腹腔内に少量の血性腹水を認め,約6cmにわたって暗赤色に変化した小腸を認めた.右大腿輪にφ1.5cmのヘルニア門を認めた.腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP 法)を行い,3DMAXTM Light Mesh(M size)を使用した.腹膜を完全に閉鎖後,臍部を約3 cm小開腹して壊死小腸を切除,器械吻合を行い手術終了した.術後経過は良好で,術後12日目に軽快退院となった.術後1年3ヶ月経過し,メッシュ感染や再発等を認めていない.腹腔鏡下手術を選択することにより,通常の鼠径ヘルニアと近似した手技で再発率の低い確実な修復が可能となる上に,腹腔内の十分な観察が行えた事で適切な治療が出来たと考えられた.

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