2020 年 70 巻 3 号 p. 193-198
【目 的】 変形性股関節症患者の術前後の関節可動域および筋力について明らかにすること.
【対象と方法】 後外側進入法により人工股関節全置換術を施行した14名を対象とし,股関節周囲の関節可動域(ROM)および筋力を術前,術後1週,術後2週で測定した.術側と非術側の比較は対応のある差の検定を行い,術前から術後2週の変化については分散分析および多重比較を行った.
【結 果】 術前ROMでは股関節内転以外は非術側に対して術側が有意に低かったが,術後2週では有意な差はなかった.術側の股関節外転ROMは,術後有意に改善した.筋力は非術側に対して術側が術前,術後2週ともに低かった.術側の股関節屈曲,伸展筋力は術後1週で有意に低下し,術後2週で有意に改善した.
【結 語】 術側ROMは術後2週で非術側程度に改善した.術側筋力は術後2週で術前レベルに回復するが,非術側に比べて有意に低かった.術後1週の筋力は,術前よりも低下していることを考慮し,理学療法介入をするべきである.