北関東医学
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原著
上州,上越地方の山岳信仰と修験者の医学的知識
三枝 里江戸部 賢高澤 知規麻生 知寿齋藤 繁
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2020 年 70 巻 3 号 p. 199-206

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抄録

【目 的】 上州,上越地方では古くから山岳信仰が盛んであり,多くの修験者や行者が活動していた.その足跡を山中の遺跡や古文書で解析することは地域住民の医学・保健学的認識を理解することに有効と考えられる.

【方 法】 群馬県内の修験者・行者の活動拠点を踏査し,信仰対象とされた山体に設置された石碑や,参道の遺物,山麓修験道寺院の収蔵書を検証した.また貴重な記録物である「伝法十二法」から医学・保健学に関連する記述を抽出し,現代医学の観点から解析した.

【成 績】 群馬県内の多くの山頂に山岳信仰に基づく石碑が設置されていた.本山修験宗長見寺収蔵書には医学・薬学に関する古文書も含まれていた.「伝法十二巻」には医学,保健衛生に関する記述が16項目あり,創傷や熱傷治癒,咽喉頭異物除去など治療的観点に立つもの,感染症や身体的不都合を惹起するもの,懐妊・避妊・堕胎など産科的なものなどが含まれていた.

【考 察】 北関東地域では山岳信仰が根付いており,地域住民の健康観に影響を与えているものと想定された.

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© © 2020, 北関東医学会
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