北関東医学
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原著
ピアサポート活動の継続が精神疾患を持つ人のリカバリーを支えたプロセス
奥寺 孝子近藤 浩子
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2022 年 72 巻 2 号 p. 197-206

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抄録

目 的:本研究の目的は,ピアサポート活動を継続することが,精神疾患を持つ人のリカバリーを支えたプロセスを明らかにすることであった.

方 法:精神障害者の通所施設に所属するピアサポーター12人に半構成的面接を行った.ピアサポート活動を通して,自らの日々の生活の仕方や思いがどのように変化したのかを尋ね,その内容をKJ法で統合した.

結 果:ピアサポーターから語られた内容は,【よい状態が保てる】【周囲の人を理解できた】【仲間に役立ちたい】【仕事を続けたい】【社会に貢献したい】【自分を受け入れられた】の6つに統合された.対象者の語りは,仕事をしていると自分の悩みや症状にとらわれなくなり,また個々の悩みには共通性があると分かって周囲の人々を理解できるようになった.そして仲間に役立つピア活動を続け,社会に貢献したいという目標を持ち,病気を持って生きる自分を受け入れられたというプロセスをたどっていた.

考 察:このプロセスにおいて,精神疾患を持つ人のリカバリーは,自分の経験を仲間に生かしたいという意図を持つことによって支えられていたことが示唆された.

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© © 2022, 北関東医学会
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