2022 年 72 巻 4 号 p. 343-347
リンパ球系腫瘍ではしばしば自己免疫性血球減少(AIC)を合併する.しかし,どのような特徴をもつ症例で合併しやすいかは明らかでない.当院で診断した低悪性度B細胞腫瘍(LGBCM)155例を対象とし,immunoglobulin(Ig)の増加と,AICの合併頻度を後方視的に検討した.6例がAICを合併し,そのうち4例でIgが増加していた.4例中3例がmonoclonal(Mono)IgGを伴い,その3例中1例はpolyclonal(Poly)なIgM増加を伴った.その他の1例ではPoly-IgM増加のみを認めた.Mono-IgGを伴う症例では,AICの合併が多かった(p=0.018).一方,Poly-Ig増加や,Mono-IgMおよびMono-IgAを伴う症例では,AIC合併の増加はなかった.Mono-IgGを伴うLGBCMでは,AIC合併に留意して診療を行う必要があると考えられた.