2023 年 73 巻 4 号 p. 293-298
背景・目的:転写調節因子Spikar/ZMYND8(以下Spikar)は核に多く存在するタンパク質であるが,神経細胞ではdrebrinと結合し樹状突起スパインにも局在する.本研究では,Spikarの核から細胞質へ移行するシグナル配列の特定及び樹状突起スパインでの安定化機構を明らかにする.
対象と方法:株化細胞に各種GFP-融合Spikarフラグメントをトランスフェクションし,細胞内局在を観察し核外移行に関与する領域を決定した.特定した核外移行領域に変異を入れて実際に核外移行が阻害されるのかを確認した.Drebrinノックダウン神経細胞でSpikarの光褪色後蛍光回復法解析を用い,Spikarの樹状突起スパイン局在におけるdrebrin依存性を調べた.
結 果:Spikarの各種領域の細胞内局在を調べたところ,Coiled-Coilドメインが核外移行に関与していることが分かった.Coiled-Coilドメインにある移行シグナルのコンセンサス配列に変異を入れた変異体は核外移行が阻害された.FRAP(光退色後蛍光回復)解析の結果drebrinノックダウン神経細胞の樹状突起スパインでは,Spikarの安定化フラクションが減少した.
結 語:Spikarの核外移行にはC末領域にあるCoiled-coilドメインが重要であり,樹状突起スパインでの安定局在にはN末端領域にあるdrebrin結合領域が重要である.Spikarの核外移行にはdrebrinは必要ないが,樹状突起スパインでの安定局在にはdrebrinが必要である.