北関東医学
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本邦の一般大衆雑誌における梅毒関連記事の歴史的変遷
小野 芳啓, 鳥海 旭世, 浜崎 景
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2026 年 76 巻 3 号 p. 275-283

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抄録

目 的:2010年以降,本邦では梅毒感染の再拡大が続いている.一方,20世紀の多くの期間においては一般大衆雑誌が医学・医療情報の重要な発信媒体であったと考えられる.本研究では,1905年に梅毒トレポネーマが病原体として確認された以降の時代を背景として一般大衆雑誌に掲載された梅毒関連記事を収集・分析し,その内容の変遷と各時代における役割を検討した.

方 法:国立国会図書館サーチ,昭和館デジタルアーカイブ,雑誌オンライン書店(Fujisan.co.jp),図書館所蔵資料および市場で入手可能な一般大衆雑誌を用いて,1910年以降の梅毒関連記事121記事を収集した.記事主題を10項目に分類し,記事への医療従事者の関与の有無を調査した.また,記事内容と梅毒流行状況および社会的背景との関連を検討した.

結 果:梅毒関連記事は1912~1935年に41記事,1947~2001年に63記事,2016~2024年に17記事を認めた.一方,1936~1946年の軍事体制期および感染沈静期後半から感染再拡大初期に相当する2002~2015年に記事は認められなかった.1912~1935年には医学総論,先天梅毒・妊娠梅毒,進行梅毒に関する記事が多く,医学総論記事とともにその多くに医療関係者の監修または協力を伴っていた.1947~2001年には歴史・読み物・文芸記事が最多で,次に感染拡大への警鐘記事が多かった.2016~2024年には感染拡大への警鐘を主題とする記事が大半を占めた.

考 察:一般大衆雑誌は時代ごとに異なる形で梅毒に関する情報を社会へ伝達してきた.戦前から戦後の流行期には医学知識の普及や公衆衛生上の啓発が中心であったのに対し,近年では感染再拡大への警鐘が中心となっていた.インターネットを中心とする情報環境の変化に伴い,一般大衆雑誌における梅毒関連記事の内容と役割は大きく変化してきたことが示唆された.

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