抄録
我々は1988年7月から1989年7月までに経皮的冠動脈形成術 (PTCA) を, 100症例の111病変に施行した。この初期の100症例の成功率, 合併症, トレッドミルテストの運動耐容能の改善度, 再狭窄率, 左室駆出率の改善度についての成績を報告する。成功率は前下行枝が87.5%, 回旋枝が63.2%, 右冠動脈が85.7%で全体として82.9%であった.重篤な合併症は1例に急性心筋梗塞を発症, その後脳出血を併発し死亡した.トレッドミルテスの運動耐容能は, 成功群で6.9±3.0Metsから9.0±2.5Metsへ, 不成功群で6.3±2.0Metsから9.1±3.7Metsへと両群とも改善し, 成功群の負荷陽性例, 狭心痛出現例が著明に減少した.再狭窄率は平均36.2%であった.左室駆出率は再狭窄 (-) 群において61.1±12.4%から65.5±10.7%へ有意に改善した.以上PTCAの初期100症例の検討では他施設と比較してもほぼ良好な成績が得られた.