北関東医学
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体動感知心拍応答型ペースメーカーの運動時至適心拍数の検討
運動耐容能および心機能による評価
山口 悦男
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1994 年 44 巻 3 号 p. 219-227

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抄録

体動感知心拍応答型ペースメーカー (rate responsive pacemaker) を植え込んだ13例を対象とした.treadmillによる30秒毎の漸増運動負荷時に呼気ガス分析および連続波ドプラ検査を行い, 運動耐容能および心拍出量を測定し, 体動感知心拍応答型ペースメーカーの有用性および至適ペーシング数について検討した.
最高酸素摂取量 (peak VO2) および嫌気性代謝閾値 (ATge) は, 心拍固定型心室ペーシング (VVI) にくらべ心拍応答型心室ペーシング (VVIR) で有意に増加した.VVIRでペーシング数を最大110beatsper minute (以下bpm) に設定した時 (VVIR 110) と130bpmに設定した時 (VVIR 130) のpeak VO2はそれぞれ20.3ml/min/kg, 19.2ml/min/kg, ATgeはそれぞれ15.4ml/min/kg, 14.6ml/min/kgであり, いずれもVVIR110の方が高値であった.
最大運動時の心係数 (CI) は, VVIにくらべVVIRで有意に高値であったが, VVIR110とVVIR130とでは, それぞれ5.14L/min/m2, 5.23L/min/m2と有意差がなかった.
以上のように, VVIRではVVIにくらべ心拍出量および運動耐容能が増加する.しかし, ペーシング数を110bpmから130bpmに増加させても心拍出量の更なる増加はなく, また, peakVO2, ATgeはVVIR110の方が大であったことから考えると, ペーシング数110bpmの方がすぐれている.

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