北関東医学
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心筋梗塞の長期予後
山内 康彦
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キーワード: 心筋梗塞, 長期予後, QOL
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1994 年 44 巻 3 号 p. 229-237

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抄録

心筋梗塞患者416例 (男性339例, 女性77例, 平均年齢57.8歳) の退院後の経過を平均6.9年間追跡し, coronary intervention, 再梗塞, 胸痛の有無, ならびにquality of life (QOL) について調査した.性・年齢別, 初回か再梗塞か, 冠危険因子, 入院時検査所見, 心電図, 心エコー, 負荷心電図と心臓カテーテル検査ならびに冠動脈造影の所見を因子として統計処理した.追跡不能4例, 院内死亡20例, 心臓死42例 (再梗塞15例, 心不全・突然死27例), 非心臓死33例, 経過中に経皮的冠動脈形成術 (PTCA) あるいは冠動脈バイパス術 (ACBG) を必要としたもの61例, 再梗塞の発症28例であった.死亡例では生存例にくらべて年齢が高く, 左室拡張末期径が大きく, 罹患冠動脈枝数が多く, 再梗塞例が多かった.これらは生命についての予後を悪化させる要因である.また, 悪化には, 血清総コレステロール値, LDLコレステロール値, 罹患冠動脈枝数が影響していた.QOLには胸痛の有無の関連が大であり, 心機能, 負荷心電図の結果や罹患冠動脈枝数との関連は明かでなかった.院内死亡を除く, 5年生存率は82.5%であり, 罹患冠動脈枝数別にみると, 1枝以下で90.4%, 2枝以上で84.3%であった.

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