北関東医学
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初代培養ラット大動脈平滑筋細胞におけるCa2+流入の調節
大島 伸浩
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1994 年 44 巻 3 号 p. 239-249

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抄録

初代培養ラット大動脈平滑筋細胞を用いて45Ca2+とMn2+流入, 細胞内Ca2+の移動を抑制した状態での細胞外Ca2+による [Ca2+] iの上昇をfura2で測定し, Ca2+流入の生理学的特徴を調べた.Ca2+流入は, dihydropyridine (DHP) 感受性電位依存性Ca2+チャンネル阻害物質であるPN200-110や過分極により抑制され, DHP感受性電位依存性Ca2+チャンネル活性化物質であるBay K 8644で増加した.
Ca2+流入は, エンドセリン-1やPMAにて抑制され, この抑制効果はスタウロスポリンにより消失した.従って, この細胞では, C-キナーゼの活性化によりDHP感受性電位依存性Ca2+チャンネルが抑制されると考えられた.Mn2+流入では, DHP抵抗性電位依存性の流入経路が存在し, PMAやエンドセリン-1および [Ca2+] iの上昇に影響を受けなかった.平滑筋では筋小胞体 (SR) が大きなCa2+プールとなっており, SRのCa2+ポンプ活性が45Ca2+取り込みの速度に影響を与えているものと考えられた.

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