北関東医学
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切除不能膵癌に対する術中照射
柿沼 臣一草場 輝雄鈴木 良彦大和田 進横田 徹坂田 義行石田 常博森下 靖雄
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1994 年 44 巻 3 号 p. 263-268

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抄録

1984年以来施行してきた切除不能膵癌に対する術中照射 (Intraoperative Radiotherapy, 以下IOR) の治療成績について検討した.IOR施行例は13例で, 進行度はStage IIIが1例, Stage IVが12例であった.9例に術後外照射を追加した.術中照射線量は25Gyで, 全例に消化管バイパス術と胆道バイパス術 (幽門側胃切除Billroth II法再建および胆嚢空腸吻合 (Roux-Y)) を行った.IORおよび付加手術に起因する縫合不全や消化管出血などの早期合併症は経験しなかった.平均生存期間は12カ月, 50%生存期間は10カ月で, 36カ月の長期生存例もみられた.術前疼痛の認められた10例全例に疼痛の消失または軽減を認めた.全例一度は軽快退院し, 社会復帰を果たせる症例もあった.IORによる除痛と付加手術は, quality of lifeの向上に貢献しているものと考える.

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