北関東医学
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胆道閉鎖症の肝門部空腸吻合術後に生じる胆管炎の臨床的検討
高橋 篤松山 四郎鈴木 則夫黒岩 実池田 均
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1994 年 44 巻 3 号 p. 269-276

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抄録

胆道閉鎖症の肝門部空腸吻合術後に生じる上行性胆管炎 (AC) について, 当科で経験した77回のACをretrospectiveに検討した.
AC発生は術後2年まで, 黄疸再上昇例, 肝門部空腸吻合を出生41日以後に行った例に多く, 発熱と胆汁流出量減少をきたした場合の半数以上はその後総ビリルビン上昇をきたした.AC治療46回中24回に1-2ヶ月後の再発生や胆汁減少の持続が認められた.AC短期予後は術後2年以上, 出生40日以内手術例, 長期黄疸消失例に良好であった.AC発生時の総ビリルビン上昇程度と短期予後は相関しなかった.ACに対して外科的治療が有効の場合もあった.
以上より, ACの発生や治療面からは, 早期に肝門部空腸吻合を行う必要性が示唆された.また, 術後2年までは厳重なフォローを行い, 発熱と胆汁減少を認めた場合はACを疑い積極的な原因の検索と治療が必要と考えられた.

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