北関東医学
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重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術
小玉 仁吉田 一郎大谷 嘉己石川 進大滝 章男川島 修森下 靖雄
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1994 年 44 巻 3 号 p. 277-282

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抄録

重症筋無力症に対して拡大胸腺摘出術を行ない, 1年以上経過観察しえた26例について術後の治療効果を経年推移も含めて検討した.また, 拡大胸腺摘出術の治療効果に影響を及ぼす可能性のある背景因子により有効率を比較した.治療効果の最終評価は, 寛解が5例 (19%), 改善が13例 (50%), 不変が5例 (19%), 増悪が2例 (8%), 死亡が1例 (4%) であり, 寛解と改善を合わせた有効は18例 (69%) であった.寛解率と有効率ともに術後の年数が経過するほど上昇した.背景因子別の治療効果の比較では, Osserman分類, 性別, 発症および手術時年齢, 病悩期間, 胸腺腫の有無, 術前抗アセチルコリン受容体抗体価による拡大胸腺摘出術の有効率の差に有意を示すものはなかった.重症筋無力症に対しては, 背景因子にかかわらず拡大胸腺摘出の適応があり, その治療効果はdelayed remissionの傾向にあるため, 術後長期間の経過観察が重要と考えられた.

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