北関東医学
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術後病理病期I期肺癌例の予後の検討
平井 利和浜田 芳郎狩野 貴之小林 純哉遠藤 敬一森下 靖雄
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1994 年 44 巻 3 号 p. 289-295

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抄録

術後病理病期1期 (pI期) 肺癌196例の予後について検討した.pI期全体の5生率は73%, pT因子別5生率はpT1が83%, pT2が59%で両群間に有意差 (P=0.0003) を認めた.年齢分布別では70歳以上と70歳未満の各群間に有意差 (p<0.01) を認め, 70歳以上は予後不良であった.腫瘍径別では腫瘍径3cm以下と3cmより大きいものとの問に有意差 (p<0.01) を認め, 腫瘍径が3cmより大きいものは予後不良であった.組織型別では腺癌が扁平上皮癌より予後良好な傾向 (p=0.062) にあった.性別では女性が男性より予後良好な傾向 (p=0.052) にあった.その要因は腺癌ではpT1の比率が高いこと, 女性ではpT1の腺癌の比率の高いことが考えられた.
全死亡例は50例で, うち再発死亡は25例 (12.8%) であった.再発様式は局所再発が4例と少なく, 遠隔転移が21例と大部分を占めた。また, pT2の腺癌の再発死亡は11例 (32.4%) と高かった.今回の検討より, pI期例の予後向上, 特にpT2の腺癌において, 遠隔転移に対する有効な術後補助療法が必要であるとの結論を得た.

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